日本国における離婚率
離婚率については諸説ありますが、信憑性の高いデータとしては厚生労働省が発表する「人口動態統計」から紐解くのが最も現実的ではないでしょうか。
2015年の統計によれば、同年の婚姻件数は635,156人・離婚件数は226,215人となっており、単純計算すれば35.6%という数字が現れてきます。
この数字を短絡的に捉えて「3人に1人以上は離婚している!」と騒いでいるメディアやWEBもありますが、流石に雑な見解ではないか?というのが私の意見です。
というのも、あくまで2015年に結婚届けを出した(若しくは離婚届けを提出した)夫婦をカウントしているだけであり、カウントされている婚姻夫婦と離婚夫婦は全くの別人なのですから…
また、晩婚化により婚姻件数はピーク(1972年 110万人)に対して6割程度まで落ち込んでおり、単純に比較できるものではありません。
そこで、より信憑性の高い"離婚率"を導きだすため、同統計を50年分遡ってみることにしました。
1965年-2015年の婚姻数と離婚数を比較することで、次のような様々なケースを網羅することができます。
「30年前に結婚し、子供の独立を機に離婚した。」
「数年の夫婦生活の末、離別をした。」
「一度離婚したが、再婚後は未離婚。」
また、1965年に20歳で結婚した人は2015年には70歳を迎えることになり、多くの人の生涯を網羅できていると考えます。
過去50年(1965年-2015年)の離婚割合
婚姻数:40,780,476人
離婚数:9,299,832人
離婚割合:22.8%
いかがでしょうか?
この統計で見ると"4-5人に1人は離婚する"という計算になり、皆さんの肌感覚と一致するのではないでしょうか?
統計から見るネット婚活の離婚率
前述したとおり、世代や出会い方を無視した全体的な離婚率が約2割だとすると、ネット婚活での出会いに限定した際の離婚率はどうなるのでしょうか?
アメリカの統計ではネット婚活優勢
これも多くのサイトで引用されているデータではありますが、2013年に米国で約19,000人を対象に行われた調査ではネット婚活やSNSなど ネット経由で知り合った夫婦の離婚率が5.9%だったのに対し、その他の出会い方をした夫婦は7.6%と1.2倍も高い。という結果が出ました。
この結果だけを見れば「ネット婚活の方が長続きするのか…」と納得しそうですが、母数から考えるとネット婚活離婚者 1,121人、その他離婚者 1,444人となり"誤差"と言われればそれまでかもしれません。
ネット婚活の離婚率が低くなる理由
正直なところ、今現在においてネット婚活と離婚率を紐付けた根拠あるデータは存在しません。
仮に上で紹介したアメリアの統計が正しく、ネット婚活で結ばれた夫婦は離婚しづらいとすれば、次のような理由が考えられるのではないでしょうか。
- ①結婚に対するモチベーション
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一般出会いでの結婚は"デキちゃった結婚"や"親・パートナーからのプレッシャー"など、本人の意に反したケースも含まれており、そもそも臨んだ結婚で無い可能性があります。
一方で、婚活サイト利用者は結婚に対するモチベーションが高く、これらの属性とは正反対の思想です。結婚そのものを望んでいたが故に、多少の喧嘩や性格の相違程度では離婚に踏み切らないと考えられるでしょう。
- ②結婚年齢
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年齢別離婚件数をみると20代を中心に"若い夫婦ほど離婚率が高い"ことが明らかです。
一方で、婚活サイト起因での婚姻者数は30代以上が大半を占めます。つまり、ネット婚活者は既に離婚年齢のピークを過ぎており、結婚した時点で離婚に至る可能性が低い。と言えると共に、20代前半で結婚に至っている人は婚活サイトを利用することは無いとも言えるのです。
- ③婚活サイトの歴史が浅い
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これを言い出すと元も子もないのですが、そもそも"統計"と言える程のデータが揃ってないのも事実です。
婚活サイトが一般化し始めてから5年あまりなので、10年・20年と寄り添った夫婦が離婚していく可能性も加味すれば、今後ネット婚活者の離婚率が上昇していくでしょう。
仮に正しい"離婚率"を出そうとすれば、数十年後に大規模な調査を行い、被験者の自己申告をもとに出会い方法を精査していかなければ"机上の空論"に過ぎないのです。
極論、確率に意味は無い
「"ネット婚活=離婚率が低い"とは限らない」
という期待はずれ?な結論になりましたが、肩を落とす必要はありません。
むしろ、出会いの方法と離婚に明確な因果関係は無く、幸せな家庭を築けるかどうかは結婚生活を続ける夫婦がどれだけ相手のことを考え、互いに歩み寄れるかに掛かっているのです。
仮に「婚活サイトでの出会いなんて…」と心の何処かに悲観的な考えを秘めている方がいるなら"ネット婚活はきっかけに過ぎない"ことを認識していただきたく、このようなテーマを掲載させていただきました。